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2024年2月27日 (火)

絶望

文芸書林の社長が、『全国の書店に店頭平積みをおすすめします』と。

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“僕の命は言葉とともにある”著者 福島智

3歳で右目、9歳で左目を失明。
そして14歳で右耳、18歳で左耳の聴力を失った著者。
全盲ろうにして、東大教授。福島智さんの本。

激おすすめです。
読む前は、暗いかな?とか、感動ものかな?って思っていたけど、
そこに悲壮感はまったくなく、清々しさと明るい著者の言葉があふれてる。
福島さんが感銘を受けた本や、影響を受けた文中の一節なんかも多く紹介されていて、
その中の何冊かは自分も読んだことがあり、
『あ、知ってる』てうれしくなったもんです。
またこの本と出会ったことにより、新しく読んだ本もありますね。
(ただ、つくづく本は読み手次第なんだなぁとショックも受けた。)

この本では、幼少期に徐々に視力が失われていく過程においての、
ご自分のその時の気持ちや、落ち込みも素直に表現されています。
そんな中、数々の転換点、自身ではスパークと表現されていますが、
思考のブレイクスルーにより、どう自分が立ち直れたか、
受け入れられたかなどが記されています。


フランクルの公式に出会った時、そうだったと言います。
世界に残す本と言われる、“夜と霧”を書いたフランクル。
精神科医にして、ナチスのアウシュビッツでの経験を、赤裸々に、内面深く書いたもの。
そんなフランクルの公式とは、
「絶望は苦悩マイナス意味」。意味なき苦悩が絶望なんだ、と言う一節。
コレを見つけたとき(点字で読んでいたとき)、福島さんは、
『僕はそのとき一瞬顔を上げ、止まってしまったと思います』と。

ここからが、福島さんのスゴい頭脳と言おうか、とんでもない柔軟な発想。

絶望とは、意味のない苦悩である。
 『絶望=苦悩-意味』
であるなら、苦悩する事は絶望でない!
では、意味とは何なのか? 
上記の方程式から、導かれたのが、(子供の頃に習ったよね)
 『絶望=苦悩-意味』 
     ↓
 『意味=苦悩-絶望』
     ↓↓
 マイナス絶望って何だろう?
 それは希望だ!!
    ↓↓↓ 
 『意味=苦悩+希望』
苦悩の中に希望を見いだすことが、人生の意味。
すると、苦悩がなければならないものとなり、それ自体が意味有るものとなってくる。

いや~参りました。

福島さんは、自分の置かれた状況が、フランクルの極限状態に比べたら、
なまぬるい、と表現しています。(この部分読んで夜と霧を買った)
わたしゃ、進化生物学や科学系の本を読んで、
「人生に意味など無い、宇宙の発生にも意味など無いのだから」
と言うのを知り、激しく共感したけど、
それは自分が、なまぬるい、がためにそう共感したのかもしれないと思った。

おすすめの書でした。

追伸
今年は閏年。うるう年ダイビングに行ってきます。

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