きのうの熱海。
港に着くと、魚を一時生かしておく桶に、なんとアオウミガメの子供が入ってる。
綺麗な甲羅で、ぜんぜんフジツボとかコケもまだ着いてなく、実に美しい。
(カメ的には、綺麗で付着物のない甲羅は逆に美しくないんだと思うけど)
なんか網に入ってきたらしく、子供だからか、船に揚げた時は気絶してたって。
さぞや、びっくりしたんだろうねぇ。
この子に対して、入れられてる桶の大きさだけど、人間で言うと4畳半、いや3畳かな。
だから泳ぎ回るほどのスペースがないわけね。
くるくるくるくる、桶で回転し、
時折かわいい顔の先端の鼻を水面につきだし、プファ、吐息をする。
またくるくるくるくる、、、、
早く逃がそうよ(食べないんだし)。
でもあまりの可愛さに、思わずみんなで記念写真。
両脇もって、携帯でパチリ。
持ち上げると、さらにオノノくこの子は、
最初こそ、まだ小さい鰭をパタパタするけど、
すぐに万歳みたいな格好でフリーズするのね。
『可愛いーー』とみんな連呼し、ここぞとばかりにフリーズがポーズに。
(この後当然沖の方で放流したからね。)
で、動画やらアップやらと撮影の後、桶に放すと、
モノすっげー勢いで泳ぐわけ。
桶にはそんなスペースはないので、すぐにヘリに頭をぶつけてしまう。
桶はプラスチックだから、ケガすることはないだろうけど、
ただ、とんでもなく驚くよね。
話は変わって、いや変わっても元に戻るが。
進化生物とか、医科学系の本が好きで読むんだけど、
ある本に、抗うつ剤の開発経緯の一例が書いてあった。
マウスを水槽に入れ、泳がせる。ビーカーの縁はよじ登れない。
ひたすら泳ぐマウス、登れない、溺れないよう泳ぐ、でも登れない。
何百匹と実験すると、ほぼ殆どが、ある一定時間を過ぎるとガックリと放心状態に。
今度はその時間の少し前くらいで、彼らをビーカーから助け、餌を与える。
が、その後また、ビーカーへ。
すると、先ほどの時間より、少し長くがんばるんだとか。(まるで、がんばれば望みがあると、)
この時のマウスの脳には、ある種の物質が現れていると仮定し、
その物質をいろいろと抽出し、他のマウスに注射する。
そしてAを与えたマウスは、与えないマウスより頑張るとか、
Bを与えたマウスは一番興奮してるとか、、、
この実験、人間が行ってますからね。
また最近読んだ遺伝子治療の本によると、
生まれてから決まっていて、普遍のはずの遺伝子ではあるけど、
そこには偶然が入り込む余地がある。
簡単に言うと、環境による要因により、遺伝子に何らかのスイッチが入り、
つまり、遺伝子に刻み込まれるスペースがあることが分かってきた。
ただ、どう言うときに刻まれ、どう作用し、何時スイッチがはいるか?
そのタンパク質は何か、酵素は何か?これらはまだ分かってはいない。
話がここで一周して、船の上の桶に戻る。
呆然と力なく泳ぐこの子。
桶の水が汚れてきたので、バケツで組み入れてやると、
また、泳ぎを活性させる。ぱたぱたぱたぱた。(早く逃がそうよ、)
持ち上げる(我々は楽しそうVSカメは洒落にならん)、
放すと勢いよく泳ぐ、ヘリに頭をぶつける。
このあと沖で逃がされたけど、
あの子の遺伝子に刻まれたかもしんない、、、
この日の海ごはんは揖保乃糸。
蒸し暑いので最高でした。
薬味もさつま揚げもウマウマ