【喋らずにはいられない話】
自分は生物科学系がどうも大好きで、
それ系の本を随分読んでしまう。
読むと感動して興奮して、翌朝スタッフに喋らずにはいられない訳よ。
で、朝、掃除しいしい話すと「チーーン」。
進化生物系で最も衝撃を受けた1冊が、ドーキンス先生の「利己的な遺伝子」。
これはもう目から鱗どころか、世界観が変わったと言っちゃ大袈裟かもしれんけど、
それほどに面白く、為になる本だと思う。
ただ、ドーキンス本人も序文で書いてるんだけど、
たくさんの感想が寄せられ、
その中に多くの反論、批判、文句たらたらがあると。
『私どもの生徒はあなたの本のせいで、
もう生きる価値を見いだせないとまで言っています。』とか、
『他の生徒には決してこの本を見せてはいけない、と忠告しました。』など。
自分も、こんな感想を寄せてくる人の気持ちは一応わかる。
ドーキンスの主張は科学に基づく話なんだけど、
「だったら人生の意味は?」と言いたくなるんだろうと。
“利己的な遺伝子“の要点は、
この世の全ての生物は、生存と繁殖の二つの目的が最優先されるようにプログラムされている。
つまり生存(少なくとも繁殖できるまでは長生き)、繁殖(遺伝子のコピー)である。
愛も意味もへったくれもなく、ただ盲目的にプログラムされている。
今ある実像(花も木もキリンもライオンも細菌も、もちろん人間も)は、
遺伝子をつなぐビーグル(乗り物)でしかないと言える。
ここまで聞くとロマンチストは決して読むな!と言えるような内容だけど、
自分にとっては、神秘的で感動的で興味津々の内容。
特に水中世界の生物のことを思うと、次のダイビングがタマんないほど面白い。
早速一つ紹介しよう。
多くの生物では雄が派手な色彩をし、雌がかなり地味な色彩を示す傾向にある。
雄雌いずれの個体も捕食者に食われるのはごめんだ。
となれば両者とも地味な色彩が生き残りやすいことになる。
派手な色彩は配偶者と同様に捕食者をも引きつけるから。
他方、次の世代に伝えられる可能性となると、
地味な色彩を示す遺伝子は、配偶者を引きつける点において、
鮮やかな色彩を示せる遺伝子に劣る事になる。
ここからですよ、ここから。
つまり、ここには対立する淘汰圧が見られる。
捕食者によって、地味な色を示す遺伝子が自然淘汰により残る傾向(淘汰圧)になり、
反対に性的パートナーによって選ばれるのは、派手な色彩を示す遺伝子。
ここで感動を一言
んん~ん矛盾。
そう!この世は矛盾なんだよ!
矛盾で出来てるんだ!
その妥協点がバランスを取る事により成り立つんだ!
もういくらでもあなたの興味のないこと話せるので、
ここらで海の生物の話に。
綺麗な綺麗なサクラダイは日本固有種。
だから英名でもチェリーバスだったと思う。
これの雌は小さなオレンジ色の個体で、背に黒い斑点が一つ。
雄は大柄で、綺麗な朱色に白の斑点がちりばめられたボディーが、
まさにサクラダイの由来だ。
ハナダイ系はほとんどの雄が派手で大がら。
コレは雌を誘ってるわけだね。
「オレかっこいいでしょ」って感じだろうか。
でも、本気になるともっと派手。
妖艶な美しさと思えるほど雄は変色します。いわゆる婚姻色。
この雄の本気の色彩は、ある一時期だけにあらわれ雌誘うんです。
だってずっとあの色彩だったら、捕食者に食べられちゃう。
まさに命がけのナンパ!!!
こんな風に27mの水深で観察してました。
いまナガハナダイやサクラダイの雄の婚姻色が見られる。
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