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2020年4月30日 (木)

リクイルカ、リククジラ

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口永良部島にて、ウミヘビ

 

海の仕事を長く続けていて、最初に覚えたのが、
『海には普通に色んな生物がいるんだなぁ』と言うこと。
たとえばイルカやクジラ、鮫、ウミガメ、ウミヘビなんかもそうで、
ほとんど陸にいたらお目にかかることは、水族館以外になく、
たまに行く海水浴でも、希な存在だと思う。
でもひとたび沖に出てしまえば、
彼らはそれほど不思議な生き物というわけでもない。
自分たちダイバーが一喜一憂するほどでも、
漁師なんかはイルカや亀、クジラにたいして、
『あ、居たな』くらいしか興味ないことがほとんどだ。

「沖に出れば、、」と話したとおり、
海岸近くではあまり見かけない、クジラやイルカなどの生物。
がしかし、島では本当に岸近くで見かけることがある。
ウミガメも、もちろん伊豆の海でも会うことがあるけど、
島ではその十倍~百倍くらい、簡単にあうことが出来る。
八丈島でも、さぁとばかりザブンっと飛び込んだ、まさにそこに、
ウミガメが数匹、我々を気にもとめず海藻をついばむ姿を何度も目撃してる。
まぁ、それほどに海には普通に、ごく普通にいろいろな生物がいるってこと。

 

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初島にて 水中でのイルカとの遭遇


ご存じのようにイルカ、クジラ(イルカも歯クジラ類)は哺乳類で、
ウミヘビ、ウミガメは爬虫類だから、どちらも鰓でなく肺呼吸する。
沖にでると、普通にウミガメやウミヘビが、
水面に上がってきて呼吸するところを何度と見かけるけど、
そのたびに、「滑稽だなぁ」と思う。
クジラ類の呼吸の仕方は非常に優雅で洗礼されているのに対し、(あくまでそう見える)
ウミガメなんかは、水面から首を出し、きょろきょろ辺りを見回したり、
時には一回の呼吸で潜らず、顔をつけたかと思えば、
もう一回顔を上げ、呼吸をし直して潜ったりする。
その後もクジラたちのように、素早い潜降でなく、
なんせあの体型なわけだから、
鈍くさい感じで潜ってくるところがまたかわいい。

 

 

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屋久島にて つぶらな瞳がカワ(・∀・)イイ!!

 

でも爬虫類のウミガメは、他の水生哺乳類に比べ実は特別な存在。
アシカ、アザラシなどの水生哺乳類(鰭脚類)も水生爬虫類と同じで、
クジラ達と違い、完全な水生ではない。
ほら、水族館でも陸を歩く姿を見かけるし、
手(ヒレ)をたたいたり、笑ったり、中には筆で字を書くのもいるかな。(こりゃ関係ない)
出産子育ても一定期間陸だしね。
でもクジラ達はもちろん歩く事をしないし、
出産も授乳も子育ても水中。
そう言った意味で、ウミガメの戦略はアシカやアザラシに似て、陸で産卵孵化する。
さぞあの甲羅は重たそうで、およそ陸ではつらいと思うのだが、
ゾウガメなんて100キロを超える亀が居ることを考えると、謎で仕方がない。

 

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八丈島にて、

でこのウミガメが(ゾウガメは陸ガメ)なんで特別かというと、
進化の上では、全ての生物が海からスタートし、陸に進出したわけだけど、
その後、また海に戻っていったのが、水生哺乳類たち。
水生の爬虫類もそうだね。でもウミガメは違う。コレがややこしくて、

海⇒陸⇒海、(ここまではクジラと同じ)、そしてもう一回陸から~の⇒海だ!。
そいでもって今の甲羅のある陸ガメは、
さらに此処から⇒陸へもう一回ランディングしたらしいのだ!!!。
で、あの重たい重たい甲羅は、いったい何処のタイミングで進化してきたのか?
水に戻ったときに、腹の甲羅が先に出来(水面で下から外敵に対し有利)、
その後陸に上がって背の甲羅が徐々に、
そして海に戻り、意外に背中堅いのもイイかもねってみちすじ。(確証はされていない)
んん~、なんかコレ聞くと、あの無様な水面での呼吸も理解できる気がしてきた。

 

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慶良間にて ザトウクジラ

 

ところで、クジラたちの中で、もう一度陸に戻った仲間なんて話は聞かない。
でも、この先数万年以上の未来には、
陸イルカなんて者が出現してもおかしくないのが進化だ。

 

 

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