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2019年6月 5日 (水)

ノーベル賞受賞者、科学者、政治家がクイズでチンパンジーに負けるわけ

ノーベル賞受賞者、科学者、経済学者がクイズでチンパンジーに負けたわけ。

 

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久々に本の話題
【ファクトフルネス FACTFULNESS】著ハンス・ロリングス

この本は、「あなたの常識は2、30年前で止まってるよ」と呼びかけ、
“事実に基づく世界の見方”を教えてくれるもの。
実際読み終わってその通りだし、
先入観、マスコミ誘導で、
いかに自分が間違った思いこみを真実だと考えていたかがよくわかる。
著者のハンスさんは、
もともとは医師であり、国連やユニセフ、世界保健機構のアドバイザーなんかも担当。
自身も、貧困で苦しむコンゴやモザンビークで、幼児医療に従事した経験の持ち主。

 

ハンスさんが「この本を最後に書き上げよう」(この本が遺作となった)と思った経緯は、
『ここ数十年、何千の人々に、
貧困、人口、教育、エネルギーなどの世界にまつわる質問をしてきた。
医学生、大学教授、科学者、政治家、役員、ジャーナリスト__
ほとんどみんな間違えた。みんな同じ勘違いをしている。
そんなんじゃ正しく世界を導けないし、お金も無駄遣いに終わる。
事実に基づいて、正しく世界を見られれば、
人生の役に立つし、ストレスもへり、気分も軽やかだ』

 

この本の核になるのが、TEDトークでも有名になった、チンパンジークイズ。
チンパンジークイズとは、13の世界の常識クイズ。
誰にでも答えられる、世界の人口や出生、お金にまつわる問題なんだけど、
ノーベル受賞者や科学者までもが間違ってしまう。
三択問題なので、チンパンジーに答えさせると、その正解率は33%になる。
世界の専門家の正解率は平均10%以下。
この問題を、著者は世界中多くの国際会合や大学の授業でやって見せているが、
正解率は決まって一桁。
なんでチンパンジー以下なんだ!?
何も知らないで、でたらめに答えるより正解率が低いって、どういうこと?!

 

それはこんなクイズ
質問1.
現在低所得の国の何割の女子が、初等教育を終了するでしょう?
  A.20% B.40% C.60%
質問3.
世界人口のうち、極度の貧困にある割合は、過去20年でどうなったか?
  A.二倍になった B.変わらない C.半分になった
質問6.
国連予想では、人口は2100年に、今より40億人おおくなる。増える理由は?
 A.子供が増えるから B.大人が増えるから C.後期高齢者が増えるから  

質問9.
世界の1歳児の中で、なんらかの予防接種を受けている割合は?
 A.20% B.50% C.80%

質問10.
世界の30歳男性は、平均10年間の学校教育を受けている。
同じ年の女性は何年学校教育を受けているか?
 A.9年 B.6年 C.3年

 

まぁ、もちろん自分も間違ったし、あなたもきっと間違う。
でも科学者だって政治家だって間違うのはどうなの?
理由を一言でいってしまうと、
『古い間違ったデータを、そのまま信じていた方がドラマチックだから』

もしかしたら、あなたは今、
『世界のことなんて関係ないし』と思ったかもしれない。

でも、この本の凄い肝はここで、
 ・いかにして人は間違うか、
 ・何で思いこんでしまうか、
 ・自分の常識だけで考えてはいけない
このようなことがハンスの経験を元に、たくさん紹介されている。
これが非常に役立つ。
もう一回言うね
この本で、事実に基づいた世界の見方だけでなく、
日常において、間違っているとも知らずに、
思いこんでしまうことを減らすことが出来る。

 

一番自分が認識していなかった事実は、
『人々の暮らしぶりに一番大きな影響を与えるのは、
宗教でも文化でも国でもなく、収入だと言うこと』

 

追伸.こたえ
 質問1. C60%
 質問3. C半分になった
 質問6. B大人が増えるから
 質問9. C80%
 質問10. A9年

 

さらに追伸、
ブルースリーの映画で、リーがキックを弟子に教えているシーンがあって、
『考えるな、、、感じるんだ、、、』みたいな一幕がある。
カッコいいから良~く覚えてる。
でもこれは間違いだ。
感じるのは、私やあなたでなく、
周りの刺激(テレビ広告やドラマ、ネット)により、そうあなたが感じさせられている。
よく考えないといけない。

 

 

 

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