島と月と宇宙の不思議
イルカに見とれているところ
島と月と宇宙の不思議
島旅で最初の頃、一番驚いた事は何か?
海の綺麗さや、島の文化、 食べ物のこともそりゃ興味を引き、驚くことではあるけど、
なんといっても、荷物の積み卸しの大変さといったら、、、
岸壁に着けた船に、 器材やシリンダー、手荷物など一切合切を積み込んで島旅は始まる。
それは奥能登の七つ島へ行くときも、八丈小島に行くときも、
五島、宇治群島、トカラ列島、豆南諸島、、、
どこに行くときも、当たり前だけど積み込まなければ出発しない。
それが九州の島の場合、とにかく大変なんだ。
時間帯を間違えると、 まるで二階の屋根と玄関先位の高低差があるところを、
上げ下げすることになる。 これは正直、日本海育ちの自分には考えられなかった。
ちょっと詳しく説明するね。
海には干潮満潮があり、その水位が上下することは知ってるよね。
多くの地域で、その現象は1日に二回ずつ。
とここまでは、日本海だろうと伊豆七島だろうとトカラだろうと変わらない。
ところが、
違うのはその潮位差。
つまり“満潮と干潮の海水面の差”が、地域によってとんでもなく違う。
ちょっと、3/20の大潮の日を見てみよう。
《3月20日(大潮)の各地のおおよその潮差》
日本海
・能登輪島 20センチ
・佐渡島 20センチ
伊豆半島
・伊豆熱海 130センチ
・伊豆田子 150センチ
伊豆諸島
・八丈島 110センチ
・伊豆大島 130センチ
・小笠原父島 90センチ
紀伊四国
・南紀串本 160センチ
・高 知 170センチ
九 州
・長崎野母崎 270センチ
・串木野 250センチ
・枕 崎 230センチ
九州離島
・屋久島 200センチ
・奄美大島 170センチ
どうだろう?
日本海はほとんど潮差がないと言っていいのに対し、
九州西側は3メートル近くの差がある。
こうなると二階建ての建物だ。
もう一回言うと、干潮と満潮の差が3m。
だから、7月の僕らの無人島や5月薩摩硫黄島の島旅の時には、
船の入港出港の時間がめちゃめちゃ重要。
干潮時に入港して、荷物を船から下ろさなければいけない時は、
ほんと、心おれるよ。
【潮汐の差が、こんなに各地で違うのはなんで?】
結論から言うと、専門家でもその説明は難しいんだって。
とコレで終わっちゃったら、ここまで読んできたあなたに申し訳ないので、
もう少し進める。
そもそも潮汐は、主に月の引力によるところが大きい。
なんで2700万倍も大きい太陽からの影響よりも、
月の方が二倍以上も影響するのかというと、
単純に月が地球に近いから。
だから月の形(見え方)によって、干満は変わる事を習ったね。
でも、そうするとさらに謎が増えないかい?
潮汐を起こす力が、地球の外側、宇宙的な力からなんだったら、
なおさら、あらゆる場所に公平に作用するのでは?
なのになぜ?
地理的にそんなに変わらないところで、これほどの違いがあるのか?。
さっき3m差で驚いていたけど、 世界にはもっと、とんでもない所がある。
北米のファンデイ湾では、その潮位差は、なんと50フィート。
50フィートってピンとこない?
50フィートっていったら、なんと30メートル!!!
もう、こうなると、月に2回毎回災害が起こるんじゃないかってレベルだ。
荷物の上げ下ろしなんて到底無理。
一体の地域の人はどうやって暮らしているんだろう?
ちょっと横それたね。修正します。
この局地によって、同じ日であるにも関わらず、差があることの説明だったね。
うまくできるかなぁ。
例を挙げると、 タライに水を張ったとするね。
それを手でゆっくり動かしてみよう。
水面は振動し、ちょうどシーソーのような運動が起こる。
この時一番外側、つまりタライの両端ではもっとも運動が激しく、
中央では最小となる。 この水を動かす力が、月と太陽の引力。
専門家によると、海岸にもこのタライと同じ現象が起こっていて、
さらに深さやその幅がいろいろあり、様々な影響を受ける。
その地域(タライ)の両端に近いところが、 この場合ファンディ湾であったり、長崎野母崎であるとなる。
わずかの距離の隔たりで、北米のナンタケット島では5、60センチの潮位差が、
ファンディ湾では15mと言う違いを生む。
ん?・・・・
だめだ、やっぱ説明できない!
す、すんません。
ここは一つ、
どの島に出かけるときも、潮汐を調べておこうね。 と覚えておこう。
最後にもう一つ、
太古の昔、地球に衝突した小天体があり、
もぎ取られた地球の一部とともに集まったのが月の誕生。
当然ながら、月と地球の距離は今よりもはなはだ近く、
このため潮汐も今と全然違った。
単純に、月の距離が今の半分であったころ、 潮汐は今の八倍も強く、
5、60メートルの潮位差がある海岸も存在した!!
月は今も地球から離れているので、いずれこの潮汐が収束すると考えられている。
長生きするもんじゃないね。