死んでから甦る魔法
熟成勘八のさしみ
時間がたってからの方が魚が美味しくなるお話。
いつも行く熱海横磯港の山口船長に、“熟成勘八”をいただいた。
山『今日クーラーありますか?』
と、港に着くや否やの質問にピンッときた自分は、
「あるあるある」と三つ返事。
山『きょうのは、魚は普通のなんですけど、
ガッチリ血抜きと綺麗にして、寝かせてあるやつ。』
山『カンパチなんだけど、冷蔵庫で三日四日は楽しめますからね』
昨今はやり?の熟成肉ならぬ熟成魚とは、
金沢なんかの高級料亭でも好んで使われている技法。
ブリやノドグロ、カレイ、ヒラメ、カンパチなど、
比較的大きめの魚が使われている。(なんでも出来るんだろうけど、、)
技法って言うと超絶プロの業に聞こえるけど、
ポイントは2つとシンプル。
まずキッチリ血抜きと、水洗い。
血あいや背骨のところ、ワタ抜きした腹側、エラの処理をする。
次に温度管理と寝かせとなる。
まぁその過程や寝かせ方も、
プロなら神経締めにホシザキの保湿冷蔵で1度〜3度とかでやるのだろうけど、
家庭でもかなり美味しくできるようだ。
ちなみに食べた感想を山口船長にメールしたんだけど、それがこれ↓↓
『うまい!
山口さんおはようございます。
頂いた勘八をさくにし、濡らしたペーパーをはさんでラップして冷蔵庫へ。
今朝食べました。
しっとりしていて、歯応えもある!
我が家も漁師の育ちなので、
むかし姉が活け魚と血抜きしたブリが嫌いだと言っていたのを思い出します。
コリコリもだめ、
血が抜けて刺身が白くなったのも嫌、
そんな姉に熟成というのを教えてやりたいです。
ちょっと思ったんですが、これからの時期のタカッパを、このしっかりした下処理と寝かせをすると、化けるんじゃないですか?
ありがとうございました。』
生きてる魚を調理しても、全く味がない。固いだけ。
日がたった魚はダレて臭いく、マズイ。
細胞を生かしたまま、臭みのもととなるものを除去し、旨味成分を増加させる、
まさに死んでから甦らせる魔法。
もはや“新鮮”と言う定義はなくなるかも?
まぁとにかく、カンパチ旨かったよ!
追伸、
タカッパは伊豆の水中では定番過ぎるほど定番のタカノハダイ。
可愛そうに、沢山いて特にチャームポイントも無いから不人気。と言うか無視。
そして、漁師も無視。
市場価値も超低い。
ところが、
冬場のタカッパは脂も乗り、磯臭も消え、旨いんだな。