房総半島の奇妙な関係
先日のブログで、すべての哺乳類には感情があり、
そればかりか、爬虫類と魚類の一部にも意識がある、
という話、覚えているかな?
この話を、土曜日に潜りに言った館山市波佐間の荒川親分(社長)に話してみた。
『一部の魚類にも感情があることが科学的に証明されているらしいんですよ、、』
社長『そりゃそうだよ!アイツ、俺が怒るとわかるもん』
この話には自分も全面的に納得したけど、
その前に‘アイツ’の事と、
何でこんな話を荒川さんにしたのかを少し話そう。
波佐間の荒川さん(80)はバリバリの現役ダイバー。
そこの水中にいるお友達(子分)の頼子とはめちゃめちゃ仲がいい。
頼子って名前だけど、実は雄のコブダイという魚ね。
成魚(雄)はコブがかなり大きくなる。アイツの正体だ。
このコブダイは縄張りを持つことと、結構長生きする事がわかっている。
繁殖行動の時には雄同士の激しい縄張り争いが起こり、
負けた方はもちろん縄張りを失う。
ちょうどライオンのプライドのようなものだ。
このコブダイ頼子と荒川さんの仲はかれこれ30年近く!。
つまり、波佐間のテリトリーに30年君臨する雄ってことだ。
毎日とは言わないまでも、
ほぼ水中で毎回顔を会わせ、貝やヤドカリなんかを荒川さんからもらう仲。
先日潜ったときに、この頼子にあることを試してみた。
名付けて‘’荒川さんになりすまし作戦‘’
荒川さんの水中の出で立ちは、
黒いウエットスーツの上下に頭にはフード。
自分もこのときは黒の上下でフード付き。
これ、魚くらいの頭脳なら、ぱっと見わからんでしょ。
そしで格好だけでなく、頼子との接触の仕方もマネてみる。
貝をあげる振りをして、金槌でカンカン石をたたいてみた。
確かに、頼子は寄っては来るんだけど、目玉をこちらにぐりぐり向けて、
『ん?なんか違うくない?』的な仕草をするではないか!!
結局、ある程度寄っては来るけど、それ以上は近づかず、
ふいっと行ってしまった。
これが1回目の潜水で、
自分は『明らかにコイツ、見極めてるなぁ』
と思った次第。
そして、いよいよ二回目。本物の荒川さんの登場。
潜降するなりすぐに頼子はやってきた。
もう直ぐだよ。
俺んときと全然違う!
荒川さんが金槌でカンカンやると、
頼子は所定のポジションで待機(なんてこった!)。
鰭をぱたぱた動かして、荒川さんの直ぐ脇でホバーリングしてるし。
その間、荒川さんは、
『もちょいコッチだ』
『いま貝やるから、もう少しまってろ』
『もっと離れろ』
みたいなゼスチャーというか、オーラを頼子に出すんだけど、
驚いたことにこれが全て伝わってる。マジだよ。
まぁ、見事なあいだがら。
潜水を終えて、思わず、
『魚類にも感情があるらしいですけど、頼子は確実にありますねぇ』
と荒川さんに話したところ、
『そりゃそうだよ、アイツ俺が怒るとわかるもん!』と。
まぁ荒川さんが、このように話す根拠をこの後話してくれたんだけど、
ここで書いてもおそらくあなたは信用すまい。
でもね、
潜って荒川さんと頼子の仲を見れば絶対わかるから。
人と魚の友情ってのもあるんだなぁ〜と。
あ、頼子は荒川さんの子分みたいな感じだけどね。
30年も目の前の海に居たらそうなのかもね。
でも、コブダイだから、頼子だからだと思うけど。
陸に上がってからも、荒川さん、初めて来た人に、
『あんたらが行っても頼子来なかったろ、
ちゃんと俺のことわかってるんだよ』
と楽しそうに話してた。
『頼子が先か、俺が先に死ぬかだな』と豪快に笑って。
文.わじま・でんいちろう
追伸
今週末はいよいよ、
直美1000本祭りだ。
25年ほどで達成した千ダイブをみんなでお祝い。
本人が大好きだと言う伊勢海老も手配し、
それ以外にも、あれこれ仕込んで、、
楽しみぃ〜