己を恭しく正しく南面するのみ
【己を恭しく 正しく南面するのみ】二宮翁夜話より
小学校の時にならった二宮金治郎。
薪を背負いながら学問に励み、一家を支え出世していった偉人・・・
このくらいは日本人なら誰でも知っていると思う。
でも、思うんだけど、
そんな簡単に二宮尊徳を終わってはいけない。
「だれだ、当時の文部省の役人か!」
こんなにスッゲー人物のことを、
そんなサラっと教科書に載せるだけで終わらせたのは!
たしか今春からかな、小学校で道徳の授業が復活したはずだ。
どんなことを教えるのか分からないけど、
道徳で飯は食えない!
だから、二宮翁夜話を教えればいい。
人の道(徳)とはいかようなものかと言うのをこれほど的確に、
かつ現実的に(経済も)教えてくれているんだから。
とてつもない人物だ。
二宮翁夜話は、晩年使えた門下生の福住正兄が編集したもの。
正兄は箱根の老舗旅館福住へ養子として迎えられ、
湯本村の復興と福住家の再建を成し遂げる。
(この旅館は現在の箱根の老舗、萬翠楼福住)
その正兄が帰国のさいに、様々な事を二宮翁から助言されていて、
それが夜話にもかいま見れる。
その中の一つがこの、
『己を恭しく(うやうやしく) 正しく南面するのみ』と言う論語の一節。
おまえが(正兄)温泉宿を渡世としたならば、
「己を恭しくして正しく温泉宿をするのみ」と読んで生涯忘れるな。
世の中に流され、本理を誤ってはいけない。
「己を恭しく」というのは、自分の身の品行を謹んで落とさないこと。
その上で、ただしく温泉宿をするだけと決定(けつじょう)する。
身を修めるのも、家をととのえるのも、国を治めるのもこの一つ。
忘れてはいけない。怠ってはいけない。
二宮翁夜話ではこのほか、宇宙の法則と人間の理の違いや、
経済論について、とてもわかりやすく述べられている。
最近のスポーツ指導者の色々な問題なんかは、
まさに“己を恭しく ただしく指導するのみ”
と言う決定が無かったか、忘れたのだろう。
文責.わじま・でんいちろう
追記
今週末は真鶴半島でアオリイカの産卵を観察しに。
うまく時間があってくれるかな。