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2017年12月13日 (水)

あなたもきっと間違えるはずだ。なぜなら、、

あなたもきっと間違えるはずだ。なぜなら、、

心理学本のネタ話。
今朝も、ノーベル賞を受賞した心理学者の本を読んでみた。
やっぱすこぶるオモロイ。
カーネマン博士の専門は、意志決定論と行動経済学。
分かりやすく言えば、
『人はなんでそんな風に決めるの?』、
『人はなんでそんな風に行動するの?』、
『何で一貫性がないの?』
『どうして簡単に間違うの?』
と言ったことを研究すると言う非常に楽しいもの。
(わたしはめちゃめちゃ楽しいと思うけど、あなたはどう?)
だから、本の中にはビッシリと実験で使われた問題が沢山ならぶ。
これがホント楽しい。
人間てこんなにも一貫性がないんだ。
そして簡単に矛盾した間違いをおかす生き物なのね。

では、今日読んだ箇所から1つ。

あなたは次のようなeメールを受け取ったと想像して欲しい。
発信元は、あなたが日頃から信頼できると考えている環境団体で、
寄付のお願いをしている。


「イルカの生息地の多くは汚染に脅かされており、
このままではイルカの数は次第に減ってしまいます。
汚染のないきれいな海を、少しでも確保するため、
この程フォーザ・ドルフィン特別基金を設立し、
あなた様のご寄付をお願いする次第です。」


この文面からあなたは何を想像するだろう。
もしかすると、この種のお願いには絶対に応じない事にしているかもしれないが、
ここは筋を曲げて、寄付をするとして考えてみて。
するとどうだろう、
脳には熟考するシステム2と直感的に考えるシステム1が存在するが、
システム1は〔良い・悪い〕を自動的に評価する。
又、様々の動物の中でのイルカのランク付けも形成する。
ダイビングをするから海大好きだ。そしてイルカは可愛い。
とっさに思いつくイタチやカタツムリ、鯉よりもずっと高いランクだ。
ちょっと待って!
言うまでもなく、あなたが考える問題は、
イルカを鯉より好きかどうかでなく、
いくら寄付するかである。
そこであなたのシステム1は、困難な問題(いくら寄付するか)に直面したときに、
置き換えとレベル合わせを行い、もっと簡単な質問を投げかける。
『海もイルカも大好きだから、助けるのはいいことだ』
『大好きの度合いは金額にしてどのくらいかな?』
こうしてあなたは寄付額を考える。


では、今度は別の寄付をお願いされた。


「長時間太陽光線にさらされた農業従事者は、
一般の人に比べ皮膚ガンの発生率が極めて高くなっています。
ひんぱんに検診を受ければ、発症リスクを大幅に減らすことが出来ます。
そこでこの度、ガン検診を強化する為の基金を発足させます。」


どう?

システム1は今度は、
他にもまもられるべきもんだいがあるのでは?
と考える。とっさに思い付く公衆衛生の問題なら、
農家の人の皮膚ガンの問題はそれほど高いランクでなさそうだ。
そしてまず間違いなく、
絶滅危機の種の中のイルカのランク付けより低くなるはずだ。
つまり、皮膚ガン問題の寄付額より、イルカ保護の寄付額の方が勝る。
これは実際の実験でも、単独評価(別々に考える)ではイルカ保護の寄付額がおおくなった。

では、こんどは二つのケースを並列して考えてみよう。
イルカと農業従事者のどちらに寄付額を多くするべきだろうか?

ある点が浮かび上がってくる。
農家は人で、イルカはそうではない。
あなたはもちろんそれを知っていたけど、単独でこのケースを読んだときは、
イルカが人間でないことは1ミリも頭に浮かばなかったはずだし、
農業従事者が人間だという事実も考えなかった。
この二つを並べて考えてみたときに初めて、
「人間対動物」と言う図式が浮かび、寄付額は逆転する。
いかに愛すべき種であっても、イルカへの寄付は相対的に少なくなる。


不思議だね。

この章では、
『狭いフレームで物事を判断しすぎないように。
狭いフレームで物事を考えると、システム1による感情反応に左右されやすい。』
と言うことが述べられていた。

追伸、
口永良部島に行くときに、良くイルカの群に遭遇する。バンドウイルカより小型の種だ。
ボートの周り中囲まれたときもある。
しばらく併走してくれ、曲芸を見せてくれた。
なんだか幸先良い気がするものだ。

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