あなたもきっと間違えるはずだ。なぜなら、、
心理学本のネタ話。
今朝も、ノーベル賞を受賞した心理学者の本を読んでみた。
やっぱすこぶるオモロイ。
カーネマン博士の専門は、意志決定論と行動経済学。
分かりやすく言えば、
『人はなんでそんな風に決めるの?』、
『人はなんでそんな風に行動するの?』、
『何で一貫性がないの?』
『どうして簡単に間違うの?』
と言ったことを研究すると言う非常に楽しいもの。
(わたしはめちゃめちゃ楽しいと思うけど、あなたはどう?)
だから、本の中にはビッシリと実験で使われた問題が沢山ならぶ。
これがホント楽しい。
人間てこんなにも一貫性がないんだ。
そして簡単に矛盾した間違いをおかす生き物なのね。
では、今日読んだ箇所から1つ。
あなたは次のようなeメールを受け取ったと想像して欲しい。
発信元は、あなたが日頃から信頼できると考えている環境団体で、
寄付のお願いをしている。
「イルカの生息地の多くは汚染に脅かされており、
このままではイルカの数は次第に減ってしまいます。
汚染のないきれいな海を、少しでも確保するため、
この程フォーザ・ドルフィン特別基金を設立し、
あなた様のご寄付をお願いする次第です。」
この文面からあなたは何を想像するだろう。
もしかすると、この種のお願いには絶対に応じない事にしているかもしれないが、
ここは筋を曲げて、寄付をするとして考えてみて。
するとどうだろう、
脳には熟考するシステム2と直感的に考えるシステム1が存在するが、
システム1は〔良い・悪い〕を自動的に評価する。
又、様々の動物の中でのイルカのランク付けも形成する。
ダイビングをするから海大好きだ。そしてイルカは可愛い。
とっさに思いつくイタチやカタツムリ、鯉よりもずっと高いランクだ。
ちょっと待って!
言うまでもなく、あなたが考える問題は、
イルカを鯉より好きかどうかでなく、
いくら寄付するかである。
そこであなたのシステム1は、困難な問題(いくら寄付するか)に直面したときに、
置き換えとレベル合わせを行い、もっと簡単な質問を投げかける。
『海もイルカも大好きだから、助けるのはいいことだ』
『大好きの度合いは金額にしてどのくらいかな?』
こうしてあなたは寄付額を考える。
では、今度は別の寄付をお願いされた。
「長時間太陽光線にさらされた農業従事者は、
一般の人に比べ皮膚ガンの発生率が極めて高くなっています。
ひんぱんに検診を受ければ、発症リスクを大幅に減らすことが出来ます。
そこでこの度、ガン検診を強化する為の基金を発足させます。」
どう?
システム1は今度は、
他にもまもられるべきもんだいがあるのでは?
と考える。とっさに思い付く公衆衛生の問題なら、
農家の人の皮膚ガンの問題はそれほど高いランクでなさそうだ。
そしてまず間違いなく、
絶滅危機の種の中のイルカのランク付けより低くなるはずだ。
つまり、皮膚ガン問題の寄付額より、イルカ保護の寄付額の方が勝る。
これは実際の実験でも、単独評価(別々に考える)ではイルカ保護の寄付額がおおくなった。
では、こんどは二つのケースを並列して考えてみよう。
イルカと農業従事者のどちらに寄付額を多くするべきだろうか?
ある点が浮かび上がってくる。
農家は人で、イルカはそうではない。
あなたはもちろんそれを知っていたけど、単独でこのケースを読んだときは、
イルカが人間でないことは1ミリも頭に浮かばなかったはずだし、
農業従事者が人間だという事実も考えなかった。
この二つを並べて考えてみたときに初めて、
「人間対動物」と言う図式が浮かび、寄付額は逆転する。
いかに愛すべき種であっても、イルカへの寄付は相対的に少なくなる。
不思議だね。
この章では、
『狭いフレームで物事を判断しすぎないように。
狭いフレームで物事を考えると、システム1による感情反応に左右されやすい。』
と言うことが述べられていた。
追伸、
口永良部島に行くときに、良くイルカの群に遭遇する。バンドウイルカより小型の種だ。
ボートの周り中囲まれたときもある。
しばらく併走してくれ、曲芸を見せてくれた。
なんだか幸先良い気がするものだ。