島旅と島旅の合間にこんなトレーニング
『あなたも、こんな間違いしていませんか?』
われわれのお仕事は、陸上のガイドだけでなく水中のガイド(ダイビング)や講習も含まれている。
当然海や自然には危険は付き物で、それによるリスクもさることながら、人間が犯す間違いによる危険性も十分に考慮しないといけない。
て言うよりも、こっちの方が怖い。
だから、「人間」と言う者を良く知ることは非常に大切だ。
・ヒトにはこういう習性がある
・ヒトはこのように間違う
・ヒトは簡単に答えを導き出し、間違っているか気にもとめない
・ヒトは集中力が続かない
などなどなどなど
いかにして間違った答えにたやすく飛びつくか、
その例が、多くの実験結果や研究結果とともに提示され、解決策まで示してくれている。
人命に関わる仕事をしているすべての人が、読む価値のある本だ。
【ファースト&スロー】 著ダイエル・カーネマン
認知心理学者。プリストン大学名誉教授で専門は意志決定論と行動経済学。ノーベル賞受賞
350ページの上下巻、合わせて700ページの量だから読むのがイヤになる人もいるだろう。
(読んでみれば分かるが、あっという間にページをめくってしまうほど楽しく読め、かつ分かり易い)
そこで、ココだけは知っておこう!と言うところをクローズアップしておく。
我々には直感的に物事を考えたり、まるで自動操縦するがごとく無意識に答えを導く「速い思考」と、
集中力や自制を伴う「遅い思考」とがある。
速い思考をシステム1、遅い思考をシステム2と呼ぶとして(脳の中にそのような場所があるわけでない)、
直感的なシステム1の方が影響力があり、大体にして正しい判断を下すのがシステム1。
ただし、系統的エラーを生み、自動で働くためオフには出来ない。
熟考的な遅い思考のシステム2は、直感の間違いを訂正したり集中力や注意力を伴う思考だが、怠け者である。(そんなに持久力がない)
ここで、あなたの2つのシステムを使ってみよう。
・3+2=?
・犬も歩けば○○に当たる
・フランスの首都は?
これらはいとも容易くシステム1が答える。
では次の問題を暗算で解いてみて
・17×24=
なかなか厳しいかな、紙と鉛筆は使わないように。
・
・
・
・
いまあなたの脳はシステム2を経験した。
答えが13600でないことや145でないことは分かるけど、568でないことには確信が持てない。
この問題をやっているとき、あなたの血圧は上がり筋肉は緊張し、瞳孔は大きくなる。
答えを出したときか、ギブアップしたとたん瞳孔は元の大きさに戻る。(システム2は怠け者のためギブアップもいたしかたない)
日常生活においては、
システム1はあなたが起きている間は絶えず自動で働き、印象、直感、感触をシステム2に供給する。
システム2はそれを無修正かわずかだけ修正し、受け入れる。
それであなたは自分の印象はおおむね正しいと信じ、いいと思うとおりに行動する。
これでうまく行く。だいたいは・・・・
どう?だんだんミスを犯す仕組みが分かってこない?
このあと本書では、どんな時にシステム1が間違え、システム2がそれに気が付かないか、
いろいろな実例がたくさんででくる。実に興味深い。
感情で物事を考える傾向にある人(好きか嫌いか)、
難しい問題にすぐギブアップする人(考えるのをやめる)、
思いつくまま口にしてしまう人、
あなたがそうなら一読の価値はあるよ。
でも、間違いやすいのが人間のようだ。。。