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2017年11月 9日 (木)

鯨の謎

鯨の謎
能登のイルカ

海洋生物のお話

【あなたはクジラを見たことある?】
海には色々なクジラの仲間がいて、あなたの大好きなイルカも歯クジラの仲間だね。
この地球最大種のほ乳類はまだまだ分かっていないことがたくさんある。
まぁ水面に出るのはほんのわずかな時間だし、そのほとんどが水中で生活するわけだから。
そんな中でも、
ザトウクジラは、他のクジラに比べて特徴的なところが多くあるため、比較的研究が進んでるんだね。
そいで我々ダイバーに一番なじみがあるクジラと言ってもいいんじゃにかな。
(国内でも、冬に観察できるところは多い)

全長15M、40tに及ぶこのクジラの第一の特徴は胸ビレの長さ。
体の1/4〜1/3の長さがあるから、大きいものだとキリンくらいなわけだ!!!。
胸ビレが、だよ!半端ね〜。
腹側の模様が一頭一頭違うのも特徴で、そのため個体識別が出来るんだね。
水面から深く潜るときには、尾鰭をスッとあげて潜るけど、その時尾鰭の腹側で識別するそうだ。


【クジラのラブソング】
一体全体、どのくらいの数がいるとか、生息地域は何処なのかとか、詳しい生体はググってもらうとして、
ここではザトウクジラの“歌”について焦点を当ててみようと思う。

何年か前に小笠原に行ったときに、小笠原丸の船内にデカデカとポスターが張ってあった。
ちょっと記憶が正確ではないが、↓↓
『クジラのラブソングは3000キロの彼方まで』
みたいなポスターだったと思う。
ザトウクジラはよく歌を歌うことで知られてるの知ってる?理由は、、
・高かったり、低かったり、長い短いのフレーズで鳴き、
ある一定の所まで鳴いたら最初にもどって続ける(旋律を奏でてる)。
・その年によって鳴き方(歌)に流行がある。
・鳴き方(歌)は仲間に伝わるので、同じ歌を歌う。

そしてこの歌がラブソングと言われる理由は、
雄が繁殖のシーズンに良く歌うことから、求愛のために歌っていると言われるんだね。

どう? なんかロマンチック。。

ザトウクジラは、夏の間はアラスカやカナダ西部の冷たく餌の豊富な海域で体を太らせ、
冬の時期は、緯度の低い暖かなサンゴの海で繁殖を行うんだけど、、
と言うことはつまり、
国内でも冬のシーズンは、
ケラマ諸島、小笠原諸島、奄美群島などでクジラウオッチングが盛んに行われてるということ。

【海の中でラブソングを聴いたことある?】
我々がクジラウォッチングする時は、ちょうど彼らが繁殖目的で現れるときになる。
1月〜4月くらいの時期に潜ると聞こえてくることがあるよ。(ていうか、良く聞く)
まるでバイオリンの音色のような、オルガンのようなゆったりとした声が海の中に響いてくる。
以前小笠原で聞いたときは、この歌がどんどん大きく聞こえてきて(近づく)、
腹にズシズシ響くもんだからちょっと怖かったのを思い出すよ。

一方、最近の研究ではこの歌がラブソングでないという事が報告されているそうだ。
この雄の歌に反応するのは雌でなく、雄の方らしい。
また、繁殖の時以外でも移動時に歌うことが報告されてきたと言うのだ。
ある学者によると、雄が反応することから、
『これは宣戦布告のようなものでは、、』と言った考えもある。

実は、わたしはいろんな情報を伝えてるんじゃないのかなと思ってる。
移動中にあったこととか、危険な生物のこととか、仲間の確認とかね。
それを聞いて中には、体の大きさや強さを認識する雌もいると思う。
当然強き雄と繁殖行動するのは、ある意味必然だろうしね。

まぁ詳しいことは実際クジラに聞いてみないと分からないが、歌を歌っていることは事実の訳で、
いったい彼らは何を奏でているのだろうね。。。。

余談になるけど、
『鯨のラブソングは3000キロの彼方、、、』と言う例のポスターが本当だとして、
水中での音の伝わる速度は、おおむね1500m/s。
まぁ温度とか圧力もあるだろ言うけど、そういう条件は無視するとして、
もし、あるクジラくんが、
『どなたか僕とつがいになる女性はいないかね〜♪』
と歌ったとすると、どう言うことになるかというと
33分後に遠くの雌にその歌は届き、
およそ1時間7分後に返事が来ることになる。
気の長い話だけど、
メールやラインよりすてきな気がするよ。。


追伸
2018年の12月は鯨のラブソングを久々に聞きに行こうと思う。

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