この味噌汁は、兵器なのか?
テロ対策が必要?
随分前になるが、八丈島の八重根港で、ある人から味噌汁の差し入れを一鍋受けた。
その味噌汁を一口すすった時に出たゲストの一言
『これは味噌汁界のテロリストだ!』
このように、たかだか味噌汁のことではあるが、味もさることながら、
頂く時の天候やシチュエーションによっては、
『もうこれ以上旨い物はない!』
と言い切るだけのことを思わせる力が、この兵器にはあると断言する。
わたし自身、今までにどう少なく見積もっても、7回はこの兵器に打ちのめされ、
『はぁ〜ぁ、今まで生きてきて一番やられた、、』
と思ったものです。
ところで、この『やられたぁ〜』と思ったときのみそ汁兵器の傾向を推察すると次のようになる。
みそ汁兵器の傾向
・まず圧倒的に島旅が多い。
初めて打ちのめされたのも伊豆諸島の新島だった。
沖縄ではあまり経験がないのは、きっと気温が高いから、汁の暖かさの恩恵を受けづらいからかも。
・次に、攻撃を受ける(いただく)時間だが、やはり夕刻。
夜襲はいつの時代もそのミッションに外れがないのだ。又、島は風の強い日が多いから、
海から上がったときに曇天だったりすると、これまた最高の一すすりとなること間違いない。
・それから、武器の傾向としては見た目大ざっぱな男の料理を思わせる大鍋であること。
島旅だからやはり魚が多いね。丸ごとだったり、食べたことがない魚が入っていたり、
野菜だったらぶつぶつと荒く切ってある。
でもその豪快さの中に、得もいわれぬ優しさがかいま見えるのが必殺の兵器たる所以か。
・そしてもう一つ、この兵器を所有する(振るまってくれる)人が大事なのであろう。
わたしの今までの経験では、島の人から頂いた鍋がやはりいちばん効く。
一方、バーベQなんかやって、最後に自分たちで海老や魚を入れて作ったことも何遍もあるけど、
何かが足りないんだね。
つまり、『遠いところ良く来たね〜』
というおもてなしの妙味が、それには一つ加わっているのではないかと思う。
では最後に、冒頭にかかげた『みそ汁界のテロリスト』と言わしめたみそ汁についてふれておこう。
これが噂のみそ汁だ
季節は5月だったかと思う。水温もあんまり高くなく、海から上がるとウエットスーツを着ているとはいえ、風が吹くと肌寒い。
そんなタイミングで島人ケンちゃんがやってきて、
『はい出来たよ〜、魚釣るのに時間がかかっての〜』
と持ってきたのが、最強みそ汁兵器。
具はトミ(ナメモンガラというカワハギ)とアカバ(アカハタ)。白身の魚でクセがない。
アカバは煮付けにしても最高の食材でそれが惜しげもなく投入。それに野菜がた〜っぷり。
なんと島のジャガイモが丸ごとゴロっと入てるから驚いた。
もうこれ一椀で腹一杯になる。じじつ、メインの弁当はほとんどの一が米だけが減る始末だ。
ケンちゃん曰く、
『海から上がったら腹が減るからの〜』
『それに、味は濃くないとダメ。』
『島に来るときは何時でも言ってな。こんなんでよかったら又作るから』
今思い出しても、たまらない効き目だった。
追伸、
実家の金沢から香箱ガニが送られてきた。
よし、とばかりに6杯全部を鍋に投入してみそ汁に。
濃厚な香りと、カニ味噌の脂が鍋の縁にグルリと浮いてくる。これこれ〜♪
旨いに違いないのだが、やはり一つ加えたりないようだ。
次回はこれまた味噌汁ネタ
『銀座で食べたら五千円!』と言わしめたものとは。