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2016年3月17日 (木)

島旅と島旅の間の読書。

島旅と島旅の間の読書。
島旅と島旅の間の読書。
“コミュニケーション”や“言葉”をもっと知ろうと、この本を読んでみました。

【僕の命は言葉とともにある】著者 福島智
福島さんは三歳で右目、九歳で左目を失明。十四歳で右耳、十八歳で左耳の聴力を失った全盲ろう者。
現在は東京大学の教授をされています。
ヘレンケラーは盲ろう者にして世界で初めて大学に進学した人。
著者は世界で初めて常勤の大学教員になった人です。

全編に渡って非常にきれいな言葉がつづられていて、かつ暗さが全くありません。
視覚聴覚を失った福島さんが、真っ暗な宇宙の中で一人苦悩にもがきながら浮かび上がってこれた訳。
著者が何を経験し、どのように思索し、そこにたどり着いたかは、
今を苦悩する人や、絶望感にさいなまれている人に多くのヒントを与えてくれると思います。


この本では、福島さんが影響を受けた詩や書籍が多く紹介されています。
また、自らがブレイクスルー(スパークと表現していました)にいたる出来事も細かく書かれています。

印象的な物をいくつか紹介します。

大学の頃にクラスメイトの女子が〔生命は〕と言う、吉野弘の詩を点訳してきてくれました。

〔いのちは、
自分自身では完結できないように
つくられているらしい
花も
めしべとおしべが揃っているだけでは
不充分で
虫や風が訪れて
めしべとおしべを中立する
生命は
その中に欠如を抱き
それを他者から満たしてもらうのだ
    (中略)
花が咲いている
すぐ近くまで
虻の姿をした他者が
光をまとって飛んできている

わたしも あるとき
誰かのための虻だったんだろう

あなたも あるとき
私のための風だったかもしれない〕


ほんとうに優しくきれいな日本語ですね。

ナチスの強制収容所での体験を本にまとめた、ビクトール・E・フランクルの著書もいくつか紹介されていました。
福島さんはフランクルの置かれた状況を、
『人間としての自由を束縛された、フランクルの極限状態にくらべれば、私の状況などまぬるい』
そう感じるそうです。

もっとも影響を受けたのがそのフランクルの公式。
「絶望=苦悩−意味」
つまり絶望とは意味なき苦悩である。

この公式はたしかにスゴいと思いました。
これは苦悩は絶望ではなく、意味があることを表しています。
福島さんはこの公式をさらに発展させ、
「絶望=苦悩−意味」
    ↓
「意味=苦悩−絶望」
(絶望の反意語は希望)
    ↓
「意味=苦悩+希望」

『苦悩の中で希望を見いだすこと、そこに人生の意味があると思うのです。』


他者との関わり、言葉、コミュニケーションが、
福島さんにとって如何に大切か、非常にわかりやすく書かれていました。


読後思ったことは、
自ら命を絶つ子供たちが、もしこの本にであっていたら、、、、

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