『そんなにイイなら連れてって!!』
会長小伝・その3
『そんなにイイなら連れてって!!』
前回は休みの日に会長と良く潜りに言った話をしました。実は会長、プライベートで遊びに行くときも「潜り」です。ゴルフ、賭事、酒など一切やらない人ですから、仕事=遊び=潜り。お〜、こう書くとホンマもんだねぇ。
んで、どこに遊び(潜り)に行くかと言うと、『銭洲』(ゼニズ)。
あなたが関東エリアにお住まいで多少なりとも釣りの知識をお持ちなら聞いたことがあると思いますが、、、。神津島の南西約36キロにある小島群。周辺は優良な漁場で漁師が銭になるからついた名だとか。今から20年以上前の銭洲ですからそりゃ凄かったろうね。今でもシーズンともなれば遊漁船がバンバンでてます。
そんな銭洲に、海況が安定する5月〜10月は多いときで月2回程出動していました。出動の合図は一本の電話で始まります。それは海賊からの電話、、
『会長いる〜?』
マジでオーバーでなく海賊みたいな声。ほんとですよ、こう何というか、腹に響く、カスレた低い声。とても善良な市民の声とは思えません。ただ僕はこの人会ったことがないのでホントの所はわかりませんがね。
謎の海賊(トコロ山さん)からの電話が合図で日にちが決まります。スケジュールはだいたいこんな感じ→出発は夜8時位だったかな?。夜通しランクルを走らせ下田に着き、仮眠をとって早朝下田を出船。だいたい3時間くらいで銭洲に到着します。現地で潜った後は下田に戻り、そのまま東京へ。
そいで当時3回に1回以上は欠航してましたね。つまり下田まで行くが中止とか、朝になって中止とか。これ仕事だったらガックリ来るよねぇ〜。でも会長遊びだからメゲません。だいたいこの銭洲行きの為にランクル買って改造しましたから。後ろに折り畳みできる仮眠ベッドと巨大クーラー。そう言えば一時このために熱海にアパート借りたもんね。
当時これを見ていたわれわれスタッフはどう思ったかと言うと、
『そんなにしてまで行く銭洲は相当おもろいんだろうなぁ』と。
あるミーティングの時、会長に頼んでみました。
『会長、夏のボーナスいらないから代わりに銭洲連れてって』
すると会長、さすがに自分の好きな所を誉められたようなものですから、わかったわかったと了承。
が、しかし、後日
『やっぱおまえ達銭洲はワシのあそび場じゃ。行きたかったら自分でかね払えるようになってから行ってこい!!』
『え〜〜〜!』
今思えば会長がお客さんにダイビングの魅力について話すのも、説得力が有るわけですよね。ビジネスとか仕事とかでなく、心底好きなんだろうなぁって。
日比谷公園の設計や明治神宮の造林を手がけた本多静六氏の本にこうありました。
『人生でもっとも幸せなことは仕事の道楽化である』
そのまんまやな。
《追伸》
『自分で行けるようになったら勝手に行け』と言われた銭洲に僕が始めて行ったときのお話は又の機会に。